医師になるには?医師免許の取得ルートと、医師になるまでにするべきことを解説!

この記事では、医師になるまでのプロセスについて、具体的に説明していきます。

医師とは、医師国家試験に合格し、国家資格である医師免許を取得した人です。

医師国家試験を受験するには、高校卒業後、医学部医学科へ入学し、6年間の授業や実習を経て、大学を卒業する必要があります。

こうしてみると、医師になるまでには、

  • 1.医学部医学科へ入学
  • 2.進級試験を突破して大学を卒業
  • 3.医師国家試験に合格する

という大きく分けて3つのハードルがあると言えます。

以下、これら3つのハードルをいかにクリアしていくか、そのポイントや気になる学費の面などを含め、解説していきます。

国家資格である医師免許とは?

医師国家試験に合格した後、厚生労働大臣が合格者へ交付するものです。

この医師免許は、厚生労働省の医籍に登録される必要があります(「免許は、医籍に登録することによつて、これをなす。」医師法第六条より)。

更新制度はないため、一度取得すれば生涯医師として働くことができますが、返納や取り消しといった措置もあります(医師法第七条)。

例えば、「医師としての品位を損するような行為」があった場合、医道審議会の意見をもとに、処分が決定します。

実際、2019年には計4回の医道審議会が開催されており、月単位での医業停止が21件、免許取り消しが3件ありました。

免許取り消し3件のうち2件が、覚せい剤取締法違反と、麻薬及び向精神薬取締法違反であり、薬物使用に対して厳しい処分を下していることがわかります。

医師という専門性の高い職業には、高い倫理観も同時に問われるのだということを、肝に銘じておく必要があります。

医師免許の受験資格について

ほとんどの受験者は、日本の大学に設置されている、6年制の医学部医学科を卒業した人です。

実際は、各大学内で行われている卒業試験に合格し、卒業見込みとなっている人が、受験者の大半を占めています。

他のルートとしては主に2つあります。

  • 医師国家試験予備試験に合格し1年以上の診療及び公衆衛生に関する実地修練を経た人
  • 外国の医学校を卒業するか外国の医師免許を有する人

ただ、これらに該当する人はごく少数であると考えられるため、本記事では詳細を割愛させていただきます。

医師免許の資格取得ルートについて

先に述べたように、ほとんどの人が辿るルートは、高校卒業後に、医学部医学科への進学から始まります。

晴れて進学できたとしても、大学によっては厳しい進級試験・卒業試験を課しており、留年者が多数出る場合もあります。

そして、これら幾多の困難を乗り越えた先に待っているのが、医師国家試験です。

以下では、医学部医学科への進学・進級と卒業・医師国家試験の3つに分けて、具体的に解説していきます。

医学部医学科への進学

受験対策

筆者の個人的経験(1年浪人の末、某地方国立大学へ進学)からすると、中高一貫の進学校を経て現役合格する人から、無名の高校を卒業してから数年以上の浪人生活を経て合格する人、さらには社会人経験を経てから合格する人まで様々です。

ただ、苦労すれば合格する、ということが保証されているわけではありません。

とある予備校講師が浪人生に話していたことですが、「指定席は埋まっている。君たちは残りの席を奪い合う必要がある」といいます。

すなわち、毎年全国の有名進学校を卒業する人達には到底叶わない、という厳しい現実です。

このようにみると、医師免許を取得するには、中学受験を経て、中高一貫校へ進学することが、何よりの強みであることは間違いありません。

なぜなら、公立校とは異なり、高校2年生までの間に、高校3年生までに学習する内容が修了する場合が多いからです。

そして彼らは、残りの1年間を、大学受験のために費やしてきます。

一方で、おそらくほとんどの公立高校では、高校3年間をかけて全ての履修内容を終わらせるカリキュラムになっているため、明らかな遅れをとっていることは確かです。

以上より、医学部進学のためのより確実な道は、中高一貫校を受験することと言えるかもしれません。

各進学校などは、医学部進学実績を公開していることも多いため、医学部進学に力を入れている高校を選ぶことも一案です。

もちろん、公立高校から現役合格する人も少なくありません。

日々の授業を大切にし、確実に身につけていくことができれば、合格は十分可能です。

ただ、その際には、中高一貫校で先んじて勉強している人達と互角に戦う必要があることを、忘れてはいけません。

学費

医学部への進学で気になる点としては、学費があります。

国公立に進学すれば、一般的な他学部の学費と変わらずに済みます。

一方、私立大学では、約2000万円から4500万円程度(各大学の募集要項より)かかるため、経済的に余裕のある家庭でないと難しいのが現実です。

ただし、最近では、私立大学で学費を下げているところもあり、それによって優秀な学生が集まり偏差値が上昇した例もあります。

また、多種多様の奨学金や、地域枠を用いた受験制度、さらに大学によっては成績上位者に学費を免除する制度があるなど、学費を支払うことが不可能ではない場合もあるでしょう。

また、国立大学の学費でさえ6年間支払うのが難しい場合もあるかもしれません。

筆者は独居・車の維持費・学費などを全て支払っていくことが困難であったため、大学独自の学費免除制度を利用し、半額免除を受け続けることができました(年間約28万円)。

それでもなお、家庭の事情により学費が払えない方もいるでしょう。

そのような方には、自治医科大学・産業医科大学・防衛医科大学校の3つが選択肢となるかもしれません。

いずれの大学でも、卒業後9年間の義務年限(在学年数の1.5倍で計算しているため、留年すると延長される)、それぞれ規定されている業務に従事すると、6年間でかかるはずの学費が免除される制度を有しています。

例えば、自治医科大学では出身都道府県の僻地医療、防衛医科大学校では部隊での勤務、産業医科大学では産業医としての勤務、などです。

もちろん、義務年限の途中でこれらの業務を辞めたい場合は、義務年限の年数に応じた学費を納める必要があります。

強い覚悟をもって義務年限を修了できるならば、経済的理由から学費納入が難しい方でも、医師になることは可能です。

卒業までの6年間の道のり

進級試験について

個々の大学によって差はあるものの、進級に関する基準は易しいものではないでしょう。

もちろん、大学としては立派な医師を養成する責務があるわけですが、実際には、国家試験合格率を上げなければならない事情もあります。

国家試験合格率が上がらなければ、新規入学者は減少するでしょうし、国からの補助金がカットされることもあるといいます。

そのため、「国家試験に合格しそうにない人」を、あらかじめ試験で落としておくことで、合格率を上げざるを得ないのです。

この厳しさは大学によって温度差はあるため一概には言えませんが、「定期試験で合格できない人は、国家試験も合格できないだろう」というのは、多くの教員が持つ共通認識かもしれません。

しかし、試験を乗り越えるコツもあります。これは卒業試験や国家試験でも同様ですが、「周囲と同じことをする」ということです。

進級試験や国家試験などは、100人受けて80人落ちる試験というのはありえません。80人留年させれば大学が機能停止となりますし、医師国家試験で8割が不合格となれば、医療崩壊につながります。

これらの試験では少数の不学者を落とし、大多数が合格できるようにできていることからも、周りと同じような対策をしながら勉強していけば、不合格になる確率は自ずと下がります。

一方、試験に落ちる人といえば、「教科書を1ページ目から勉強する」「狭く深く勉強する」といった、自分の世界に入り込んでしまうような人です。

ある分野では突出した知識を持ち合わせることはできるかもしれませんが、医師になるためには、あらゆる分野を満遍なく勉強する必要があります。

求められている知識をある程度網羅し、抜けがないようにすることが重要です。

自分が大事だと思う内容だけではなく、重要だと教えられたことをきちんと押さえて勉強しなくてはなりませんし、そのためにも友人同士で情報共有をすることが、何よりも重要です。

卒業試験について

おそらく多くの大学では、大学6年生の時に卒業試験が課されるはずです。

そして、先に述べたとおり、医師国家試験に不合格になりそうな人は、ここで落とされる可能性があります。

すなわち、医師国家試験を受験するために必要な「卒業見込み」を得られず留年となり、医師国家試験さえ受けられなくなるのです。

この時期になると、医師国家試験対策と並行して勉強しなくてはならないため、医学部生のストレスがピークに達してくる頃です。

勉強の効率性だけではなく、モチベーションを保ち続けるためにも、少人数であっても友人同士で勉強を続けることが望ましいでしょう。

医師国家試験

概要

6年間の勉強や実習、卒業試験を経て、ようやく最終関門の医師国家試験です。2017年までは、3日間で500問が出題されていましたが、2018年からは400問、2日間となっています。

2012年以降は、臨床実習を重視する立場が明確になり、より実践的な内容が問われやすくなっていると言って良いでしょう。

試験の特徴

試験問題は、大きく分けて必修、総論、各論の3つに分けられていますが、必修のみ絶対基準となっており、8割を下回る得点だと不合格(いわゆる「必修落ち」)となります。

そのほか、いわゆる「禁忌肢」(その患者に絶対に選んではいけない治療や検査法、など)を4つ以上選択すると、これも不合格となります。

したがって、全体の得点率は合格ラインだとしても、必修や禁忌肢に対するプレッシャーは常にあるため、最初から最後まで気が抜けない試験となっています。

医師国家試験の対策にはこれがオススメ!

医師国家試験の合格は、独学だけで到達できるほど甘くはありません。

これまで述べたとおり、周囲と同程度には知識を網羅している必要があるため、多くの学生がとっている方法を参考にすることが重要です。

以下、代表的な方法について解説します。

ビデオ講座

ビデオ講座とは、医師国家試験対策に特化した予備校や、医学系出版社が提供しているものです。

TECOM、MECといった予備校や、メディックメディアなどの医学系出版社が、独自にビデオ講座を提供しています。

多くの大学で、学年がある程度上がった後、団体で契約していると思われます。

筆者もビデオ講座を受講しましたが、非常によくまとまっており、時間帯効果が高い勉強法であることは間違い無いでしょう。

ただし、多くの医学生が利用していることから分かるように、周囲の学生たちも同様に、効率よく知識を取り入れています。

ビデオ講座だけで全てを完結させる人もいますが、下記に述べるように、問題集やグループ学習を上手く織り交ぜていくと尚良いでしょう。

問題集

医師国家試験問題解説が問題集として販売されています。

その中でも、メディックメディアのクエスチョンバンク(通称、QB)や、TECOMの回数別の問題集が、筆者の時代にはよく使われていました。

問題に対する解説集が非常に充実しており、じっくりと勉強したい人にとっては適した方法であると思われます。

ビデオ講座と問題集のどちらに力を入れるか、人それぞれでしたが、自分の特性を見極めて選択することが重要でしょう。

グループ学習

これまで何度か述べてきましたが、ビデオ講座をするにしろ、問題集を解くにしろ、一人で閉じこもって勉強することにはリスクがあります。

それは、モチベーションを維持する意味でも大変ですし、自分の習熟度がどの程度かうまく掴めないからです。

友人同士で問題を出し合ったり、教え合うことで、自分の得意不得意がより明確になったり、知識が定着しやすくなることは多いです。

6年生の後半では、部活も引退し授業も少なくなるため、意識して集まらないと、友人と顔を合わせる機会も減ってしまいます。

大変な時期だからこそ、積極的に手を取り合って勉強を進めてほしいと思います。

医師になるまでにするべきこととは?

医師になってからは、臨床業務に追われ、なかなか自由な時間は持てないことが多いです。

そのため、「部活はしたほうがよい」「遊んだり旅行はしたほうがよい」、ということはよく言われます。

一方で、とある基礎研究室の教授(この方は医師です)が、「大学に来てまで部活に打ち込むのはよくわからない」と仰っていました。

私の周りには、学生のうちから研究に打ち込む人や、海外ボランティアに力を入れている人が多く、筆者自身も少なからずこのような活動に携わっていました。

以下では、これらの意見について、一つ一つ見ていきたいと思います。

部活動

筆者の周りでは、ほとんどの学生が何らかの部活動に所属していました。

そして、6年間にわたってかなり力を入れて活動している人が多かったです。筆者自身もそうでした。

部活動の内容は様々ですが、部活動を通して得られることは多いです。

共通して言えることは、縦のつながりができることと、仲間と協力して物事を進めていくこと、といったところでしょうか。

医師の仕事は、当然ですが一人で完結できるものではありません。

先輩医師や看護師をはじめ、事務さんや看護助手さん、リハビリスタッフや薬剤師さんなど、多種多様な人たちと連携して業務を遂行していく必要があります。

このような連携・共同作業というのは、医学教育のなかには理念としては含まれていても、実際に教えてくれることはありません(臨床実習にでても、そこまで主体的に参加するケースはあまりないでしょう)。

勉強ができることが良い医師になる条件であることは間違いないかもしれませんが、それで十分ということではありません。

知識や技術を存分に発揮できるための、コミュニケーションスキルはどうしても必要になります。

そのようなスキルを身につけるために部活動をするわけではないかもしれませんが、仲間と青春を分かち合いながら、結果的に人間関係を構築していく力がついていくという意味では、部活動というのは様々な価値を持つものだと思います。

また、卒業後は皆全国各地に散っていくでしょうが、気心の知れた医師が全国各地にいるということは、なんだか心強いことでもあります。

遊び

部活動だけでなく、遊びに精を出す学生も少なく無いでしょう。

遊びと一言で言っても内容は様々でしょうが、これも部活動と同様、様々な意味を持ちうると考えます。

精神科領域では、レジリアンスという概念があり、反発力とも訳されます。

これは、困難な出来事があった時や、精神疾患に罹患してしまった時でも、それらを跳ね返して、逆に成長していける力があることを指しています。いわゆる自然治癒力です。

日本の有名な精神科医の神田橋條治先生は、とある著書(『レジリアンス 症候学・脳科学・治療学』)のなかで、「自然治癒力を復活させる根本は退行だと思う」と述べています。

退行とは、ある種の子ども返りのようなことですが、お酒を飲んでいる時も一種の退行が生まれることから、「なじみの居酒屋があるほうがいい」とも述べています。

飲み会の後の、二日酔いで気怠い感じがあってもなお、どこかほんの少し生まれ変わったような感覚というのは、退行を経るからかもしれません。

飲み会に限らず、運動や食事など、遊びを通してレジリアンスを引き出す経路は多種多様です。

「遊んでばかりいないで勉強しなさい」と親は言うかもしれませんが、医師となった後の激務をこなしていくには、日常生活にささやかな遊びの要素を取り入れることが、レジリアンスを賦活させ、健康的に過ごしていくことの秘訣かもしれません。

学生時代の時から、上手な遊び方を習得しておくことをおすすめしたいと思います。

研究

とある教授が仰っていた「大学に来てまで部活に打ち込むのはよくわからない」という言葉ですが、これは「大学に来たのならば学問に打ち込むべきだ」ということだと思います。

筆者も学生のうちから基礎研究室に出入りしていましたが、同様に学生のうちから研究に打ち込む人は案外多いようです。

昨今は、M.D. Ph.Dと呼ばれる、「医師かつ医学博士」が減少していると言われており、基礎研究と臨床を繋ぐ架け橋となれる医師が少なくなっていることが危惧されています。

逆に言えば、基礎研究ができる医師というのは非常に重宝されるわけであり、学生のうちから研究に打ち込むことができれば、大きなアドンバンテージになります。

筆者の周りには、部活動に打ち込みつつ、学生のうちから英語論文を作り上げた学生も複数いました。

彼らは医師になった後も、臨床や研究のどちらでも活躍しており、これからの日本の医療の第一線で活躍できると信じています。

海外留学

学生のうちに、数週間から数ヶ月単位で、海外でのボランティアや病院実習を経験する医学生は少なく無いのではないでしょうか。

学生によっては、将来、循環器内科や消化器外科といった、自分が進む専門科を決めている人もいます。

そのような人は、時間のある学生のうちに、その分野で有名な海外の病院に留学することもお勧めします。

筆者はボランティア活動で複数回東南アジアに行った経験がありますが、その時に得た感覚は、今も自分の臨床の基礎となっていると感じています。

言葉では表しがたい経験を積めるのが海外留学ですが、少しでも興味があるという人であれば、是非学生のうちから経験することをおすすめします。

これから医師を目指す人へのアドバイス

今、あなたがどのような立場にあるかによって、医師を目指すアプローチの仕方や、その苦労の度合いは大きく違ってくるでしょう。

それでも、様々なバックグラウンドを持ちながらも、努力して医師になった人を何人も知っています。

医師になるまでには、様々なハードルがあることは確かですが、それを突破してきた人たちの知恵を結集すれば、決して不可能なことではありません。

あらゆる経験は、医師としての技量につながってきます。

もし医師を目指したいのならば、これまでのあなたの経験を活かして、是非とも頑張ってください。

最後に

ここまで、医師免許の概要から、医学部医学科への進学、入学後の各種試験や医師国家試験などについて解説してきました。

これらを一つ一つ突破していくことが、医師になるためには必要ですが、それ以外にも大切なことはたくさんあります。

医師を目指すのであれば、日々の経験を大切にすると同時に、具体的かつ効率的な努力の仕方を追求してください。

本記事が医師を目指す人の一助となれば幸いです。

最終更新日:2020年7月7日